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引渡命令とは|競売後に占有者を退去させる手続き・費用・流れ

落札しても占有者が出て行かない——そのとき買受人が使えるのが引渡命令。要件・6ヶ月の期限・費用・強制執行までを実務目線で解説します。

目次

  1. 引渡命令とは
  2. 対象になる占有者・ならない占有者
  3. 6ヶ月の申立期限
  4. 申立てから明け渡しまでの流れ
  5. 費用の目安
  6. そもそも占有者リスクを避けるには

1. 引渡命令とは

引渡命令とは、競売で不動産を買い受けた人が代金を納付した後、占有者に明け渡しを命じるよう裁判所に申し立てる手続きです(民事執行法83条)。通常、占有者を退去させるには明け渡し訴訟が必要ですが、競売の買受人は、この簡易・迅速な引渡命令を使えるのが大きなメリットです。

引渡命令が出ても占有者が応じない場合は、これを債務名義として強制執行に進めます。つまり引渡命令は、競売物件を「実際に使える状態」にするための重要な法的ツールです。

占有者への対応全体の流れは占有者の立ち退き対応、占有者のタイプ別リスクは占有者リスクの見分け方もあわせてご確認ください。

2. 対象になる占有者・ならない占有者

引渡命令を使えるかどうかは、占有者が買受人に対抗できる権利を持つかで決まります。

対象になる対象にならない
主な占有者債務者・所有者、抵当権設定後の賃借人、不法占拠者抵当権設定前に対抗要件を備えた賃借人、引き受ける賃借権を持つ者
結果引渡命令→強制執行で明け渡し賃貸借を引き継ぐ(明け渡し不可)
引き受ける権利のある占有者には引渡命令が使えません。この見極めには物件明細書の「買受人が引き受けることとなる権利」欄の確認が不可欠です。詳しくは消除主義と引受を参照してください。

3. 6ヶ月の申立期限

引渡命令は、代金を納付した日から6ヶ月以内に申し立てる必要があります(事業用建物の使用者が相手の場合などは9ヶ月以内の例外あり)。この期間を過ぎると引渡命令は使えず、通常の明け渡し訴訟によることになり、時間も費用も大きく増えます。

そのため、落札・代金納付後は、占有者との交渉と並行して、早めに引渡命令の準備を進めるのが実務の鉄則です。

4. 申立てから明け渡しまでの流れ

  1. 代金納付・所有権取得
  2. 任意交渉:まず占有者と退去時期・引っ越し費用などを話し合う
  3. 引渡命令の申立て:管轄の裁判所に申立書を提出(6ヶ月以内)
  4. 引渡命令の発令:要件を満たせば裁判所が引渡命令を出す
  5. 送達・確定:占有者に送達され、不服がなければ確定
  6. 強制執行の申立て:退去しない場合、引渡命令を債務名義に強制執行を申し立てる
  7. 断行:執行官が立ち会い、明け渡しを実現(荷物の搬出・保管)
任意交渉でスムーズに退去してもらえれば、強制執行の費用と時間を大きく節約できます。最初の話し合いが重要です。

5. 費用の目安

項目費用の目安
引渡命令の申立て収入印紙・郵券など数千円程度
強制執行(予納金)数万円〜(執行官への予納)
荷物の搬出・保管数十万円〜(量・規模による。100万円超の例も)

占有者が任意に退去すれば申立費用程度で済みますが、強制執行に至ると費用が一気に膨らみます。占有者リスクは、落札後のコストに直結することがわかります。

6. そもそも占有者リスクを避けるには

引渡命令や強制執行の手間・費用を避ける最も確実な方法は、占有者リスクの低い物件を選ぶことです。空き家(占有者なし)や所有者本人が居住している物件は、賃借人・不法占拠がいる物件に比べて対応が容易です。

KeibaiXでは、AIが現況調査報告書を解析して占有状況を判定し、KeibaiXリスクスコアに反映しています。占有者リスクの低い物件を一覧から絞り込めます。

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免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律判断ではありません。手続きの要件・期間・費用は事案や裁判所により異なります。具体的な対応は弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。