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競売物件にかかる費用一覧|入札から取得までの全コストを徹底解説

競売物件の購入には仲介手数料が不要な一方、保証金・残代金・税金・修繕費など独自の費用構造があります。入札前に知っておくべき全コストを項目別に解説します。

目次

  1. 競売の費用が通常売買と異なる点
  2. 入札時にかかる費用
  3. 落札後にかかる費用
  4. 物件取得後にかかる費用
  5. 費用シミュレーション(1,000万円の物件例)
  6. 資金調達と競売ローン
  7. 資金計画チェックリスト

1. 競売の費用が通常売買と異なる点

競売物件は市場価格より2〜3割安く取得できる可能性がある一方、費用構造が通常の不動産売買とは大きく異なります。最大の違いは仲介手数料が不要な点ですが、保証金の事前納付や残代金の一括払いなど、競売特有の資金負担があります。

費用項目通常売買競売
仲介手数料売買価格の3%+6万円+税不要
手付金・保証金売買価格の5〜10%(手付金)売却基準価額の20%(保証金)
代金支払いローン・分割可原則一括納付(期限厳守)
登録免許税同じ税率(司法書士報酬が別途必要)同じ税率(嘱託登記で司法書士不要)
不動産取得税同じ税率同じ税率
契約書印紙代必要(1〜3万円程度)不要(売買契約書なし)
重要事項説明費用仲介手数料に含む不要(重説なし)
引渡し費用通常不要引渡命令・強制執行費用が必要な場合あり
修繕費用内覧で事前把握可内覧不可のため予備費の確保が必須
競売は仲介手数料と司法書士報酬が不要なため、同価格帯なら通常売買より50〜80万円程度安くなるケースがあります。ただし、修繕費や占有者対応費が読みにくいため、余裕を持った資金計画が必要です。

2. 入札時にかかる費用

入札に参加するためには、以下の費用を事前に準備する必要があります。

買受申出保証金(入札保証金)

競売入札の最大の資金負担が買受申出保証金です。金額は売却基準価額の20%で、入札書の提出と同時に裁判所に納付します(民事執行法66条)。

売却基準価額保証金額(20%)備考
500万円100万円買受可能価額:400万円
1,000万円200万円買受可能価額:800万円
2,000万円400万円買受可能価額:1,600万円
3,000万円600万円買受可能価額:2,400万円
重要:落札できなかった場合、保証金は全額返還されます。ただし、最高価買受人に決定された後に残代金を納付しなかった場合は保証金が没収されます(民事執行法80条)。

その他の入札時費用

費用項目金額備考
収入印紙(入札書用)不要入札書への印紙貼付は不要
住民票の取得300円程度個人の場合。法人は資格証明書(600円)
保証金の振込手数料数百円〜金融機関による
現地調査の交通費実費物件の外観確認は入札前に必須
入札時に必要な実質的な費用は保証金のみです。書類関係の費用はごくわずかで、入札のハードルは保証金を用意できるかどうかに尽きます。

3. 落札後にかかる費用

落札(最高価買受人の決定)後、売却許可決定が確定すると、以下の費用が発生します。

残代金の納付

落札価格から保証金を差し引いた金額を、裁判所が指定する期限までに一括で納付しなければなりません。期限は売却許可決定の確定から約1ヶ月程度です。

STEP 1
開札・最高価買受人の決定 -- 入札期間終了後、開札が行われ最高額の入札者が決定。
STEP 2
売却許可決定 -- 開札から約1週間後に裁判所が売却許可を決定。利害関係人の執行抗告がなければ1週間で確定。
STEP 3
残代金納付通知 -- 裁判所から納付期限が通知される。通常、確定から約1ヶ月以内。
STEP 4
残代金の一括納付 -- 期限内に残代金+登録免許税を納付。納付完了と同時に所有権が移転。
残代金を期限内に納付できない場合、売却許可決定が取り消され、保証金(売却基準価額の20%)が没収されます。資金調達の目処が立たない物件には入札しないでください。

登録免許税

所有権移転登記にかかる税金で、残代金と同時に裁判所に納付します。競売では裁判所が嘱託登記を行うため、司法書士への報酬は不要です。

区分税率軽減措置
土地(所有権移転)固定資産税評価額の2%1.5%(2026年3月31日まで)
建物(所有権移転)固定資産税評価額の2%0.3%(住宅用家屋の要件を満たす場合)
住宅用家屋の軽減措置は競売物件でも適用可能です。適用には、自己居住用であること、床面積50m2以上、築年数の要件(新耐震基準適合等)を満たす必要があります。裁判所に「住宅用家屋証明書」を提出してください。

不動産取得税

不動産を取得した際に都道府県に納める税金です。残代金納付の数ヶ月後に納税通知書が届きます。

区分税率備考
土地固定資産税評価額の1.5%宅地は評価額×1/2に対して課税
建物(住宅)固定資産税評価額の3%新築住宅は1,200万円控除あり
建物(非住宅)固定資産税評価額の4%事務所・店舗等

引渡命令・強制執行の費用

物件に占有者がいる場合、裁判所に引渡命令を申し立て、必要に応じて強制執行を行います(民事執行法83条)。

手続き費用備考
引渡命令の申立て500円(収入印紙)代金納付から6ヶ月以内に申立て
送達費用(予納郵券)1,000〜2,000円程度裁判所により異なる
強制執行の申立て予納金 6〜8万円執行官への費用
搬出・保管費用(ワンルーム)30〜50万円残置物の量による
搬出・保管費用(一戸建て)50〜100万円残置物の量による
占有者が任意に退去してくれれば強制執行は不要です。三点セットの現況調査報告書で占有者の態度を確認し、協力的な場合は引越費用の一部負担(10〜30万円)で済むケースも多いです。

4. 物件取得後にかかる費用

所有権移転後にも、以下の費用が発生する可能性があります。事前に見込んでおくことで、資金ショートを防げます。

修繕・リフォーム費用

競売物件は内覧ができないため、取得後に想定外の修繕が必要になることがあります。落札価格の10〜20%を修繕予備費として確保しておくのが鉄則です。

修繕内容費用目安備考
クロス・床の張替え(全室)30〜80万円3LDKの場合
水回りのリフォーム50〜150万円キッチン・浴室・トイレ
外壁塗装80〜150万円一戸建ての場合
屋根の修繕50〜200万円雨漏り対応含む
給排水管の交換30〜100万円築30年超は要注意
シロアリ駆除・補修15〜50万円木造の場合

管理費・修繕積立金の滞納承継

マンションの競売物件では、前所有者が滞納した管理費・修繕積立金を買受人が承継します(区分所有法第8条)。三点セットの評価書に滞納額が記載されていますので、必ず確認してください。

滞納額が100万円を超えるケースも珍しくありません。入札価格 + 滞納額 = 実質的な取得費用として計算しましょう。

固定資産税・都市計画税

所有権移転後は固定資産税・都市計画税の納税義務が生じます。通常売買では日割り精算がありますが、競売では精算が行われません。所有権移転日以降の分が買受人の負担となります。

税目税率軽減措置
固定資産税固定資産税評価額の1.4%住宅用地は1/6〜1/3に軽減
都市計画税固定資産税評価額の0.3%(上限)住宅用地は1/3〜2/3に軽減

残置物の処分費用

前所有者の家財道具が残されている場合、処分費用は買受人の負担です。

物件タイプ処分費の目安
ワンルーム5〜15万円
2LDK〜3LDK15〜40万円
一戸建て30〜80万円

5. 費用シミュレーション(1,000万円の物件例)

売却基準価額1,000万円の中古マンション(固定資産税評価額:土地400万円・建物300万円)を1,200万円で落札した場合の費用シミュレーションです。

費用内訳の可視化

落札価格
登録免許税
12万円
不動産取得税
12万円
管理費滞納(2年分)
60万円
修繕・リフォーム
100万円
残置物処分
20万円
固定資産税(初年度)
約7万円

費用合計

費用項目金額計算根拠
落札価格1,200万円入札額
登録免許税(土地)6万円400万円 x 1.5%
登録免許税(建物)6万円300万円 x 2%
不動産取得税(土地)3万円400万円 x 1/2 x 1.5%
不動産取得税(建物)9万円300万円 x 3%
管理費・修繕積立金滞納60万円月2.5万円 x 24ヶ月
修繕・リフォーム100万円クロス・水回り等
残置物処分20万円3LDK想定
固定資産税(初年度)約7万円(400+300)万円 x 1.4% x 軽減
総額合計約1,411万円落札価格の約117.6%
この例では落札価格に対して約17.6%の諸費用が加算されています。通常売買の場合、仲介手数料だけで約46万円(1,200万円 x 3% + 6万円 + 税)かかることを考えると、仲介手数料分は確実にお得です。ただし、修繕費は物件状態によって大きく変動するため、余裕を持った資金計画が重要です。
必要な自己資金の目安:上記の例では、入札時に保証金200万円、落札後に残代金1,000万円+諸費用約211万円が必要です。ローン利用の場合でも、保証金200万円は現金で用意する必要があります。

6. 資金調達と競売ローン

競売物件の購入には住宅ローンを利用することも可能です。ただし、競売に対応した住宅ローンを取り扱う金融機関は限られています。

競売ローン対応の金融機関

金融機関の種類対応状況特徴
住宅金融支援機構対応あり残代金納付期限の延長手続きが可能
都市銀行(メガバンク)ほぼ非対応競売物件への融資には消極的
地方銀行・信用金庫一部対応地域によって取扱いが異なる
ノンバンク対応あり金利は高めだが柔軟な審査

競売ローンの注意点

注意 1
事前審査を入札前に完了させる -- 残代金の納付期限は約1ヶ月しかありません。入札前に事前審査を済ませ、融資の内定を得ておく必要があります。
注意 2
保証金は自己資金で用意する -- 入札時の保証金はローンに含められません。売却基準価額の20%を現金で準備してください。
注意 3
担保評価が厳しい場合がある -- 内覧不可のため、金融機関が物件の担保評価を低く見積もり、融資額が希望に届かない可能性があります。
注意 4
再建築不可物件は融資対象外 -- 担保価値が認められないため、再建築不可物件ではほぼ融資を受けられません。全額自己資金が必要です。
ローンの本審査で否決された場合でも、残代金の納付義務は消えません。融資が確実でない場合は入札を見送る判断も重要です。保証金(売却基準価額の20%)が没収されるリスクを忘れないでください。
住宅金融支援機構を利用する場合、裁判所に対して残代金納付期限の延長(最大2ヶ月程度)を申し出ることが可能です。ローン利用の場合はこの制度の活用を検討してください。

7. 資金計画チェックリスト

入札前に以下の項目をすべて確認し、資金面の準備を万全にしてから入札に臨みましょう。

入札前の資金確認

保証金(売却基準価額の20%)の現金を用意したか
残代金の一括納付資金を確保したか(ローンの場合は事前審査済みか)
入札額の上限を事前に決めたか
登録免許税の金額を計算したか

追加費用の見積もり

修繕予備費(落札価格の10〜20%)を確保したか
管理費・修繕積立金の滞納額を確認したか(マンションの場合)
占有者がいる場合の引渡命令・強制執行費用を見込んだか
残置物の処分費用を見積もったか

税金・ランニングコスト

不動産取得税の概算額を把握したか
固定資産税・都市計画税の年額を確認したか
火災保険・地震保険の加入費用を見込んだか
賃貸の場合、空室期間の資金繰りを計算したか

最終確認

最悪ケースの総費用を試算し、資金が足りるか確認したか
出口戦略(賃貸・転売・自己使用)を決めたか
想定利回りから逆算した入札上限額を設定したか
保証金没収リスクを理解した上で入札を決断したか
資金計画の鉄則:「落札価格 + 諸費用20% + 修繕予備費15%」を基本として、落札価格の約1.35倍の総予算を確保してから入札に臨みましょう。余裕のない資金計画は失敗の元です。

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