賃借人が住んでいる競売物件は、買受人がその賃貸借を「引き受ける」場合があります。対抗要件・明渡猶予6ヶ月・敷金の承継まで整理します。
競売物件の中には、第三者が賃貸借契約に基づいて住んでいる「賃貸中」の物件があります。この場合、落札後にその賃借人を退去させられるかどうかは、賃借人が買受人に対抗できるかで決まります。
ポイントは、賃借権が最先順位の抵当権より前に対抗要件を備えていたかです。前なら買受人は賃貸借を引き受け、後なら原則として対抗されません。消除主義と引受の考え方が、賃借権でも基準になります。
対抗要件とは、賃借権を第三者に主張するための要件です。建物賃貸借では、原則として建物の引渡し(入居)を受けていることが対抗要件になります(借地借家法31条)。
この対抗要件を、最先順位の抵当権設定登記より前に備えていれば、賃借人は買受人に賃借権を対抗できます。後であれば対抗できません。賃借人がいつから住んでいるかが決定的に重要です。
| 対抗できる賃借人 | 対抗できない賃借人 | |
|---|---|---|
| 入居時期 | 最先順位の抵当権より前 | 最先順位の抵当権より後 |
| 買受人の立場 | 賃貸借契約を引き受ける | 賃貸借を引き継がない |
| 明け渡し | 原則求められない(契約継続) | 明渡猶予6ヶ月の後に明け渡し |
| 家賃 | 買受人がオーナーとして受領 | 猶予期間中は使用対価を受領 |
つまり、対抗できる賃借人がいる物件は「オーナーチェンジ」に近く、落札後すぐ家賃収入が得られます。一方、対抗できない賃借人の物件は、明渡猶予期間を経て自分で使える状態になります。
買受人に対抗できない賃借人(建物使用者)には、買受人が買い受けた時から6ヶ月間の明渡猶予期間が認められます(民法395条)。この間、賃借人は直ちに明け渡す必要はありません。
敷金の扱いは、賃借権を引き受けるかどうかで変わります。
賃料についても、対抗できる賃借人の場合は買受人がオーナーとして受領し、対抗できない場合は猶予期間中の使用対価を受領します。契約書の内容と敷金額は、落札前に把握しておきたい情報です。
対抗力のある賃借人が入居中の物件は、落札後すぐに家賃収入が得られる点で、投資妙味がある場合があります。ただし、次の点を確認しましょう。
KeibaiXでは、AIが占有状況(賃借人の有無など)と権利関係を解析し、KeibaiXリスクスコアに反映しています。賃貸中の物件か、占有者リスクが低い物件かを一覧から見分けられます。
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律判断ではありません。賃借権の効力・敷金の扱いは事案により異なります。入札にあたっては物件明細書・賃貸借契約を確認し、弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。